インターネットの急速な普及に伴い、受信者の事前の同意や要請なく送信される電子メール、いわゆる「迷惑メール」が大きな社会的問題になっています。
このような背景から、一部の法人・ISPでは第三者機関が収集したブラックリストを元にメールの受信を拒否しているようです。
一部のブラックリストは、DNSの設定情報から独自の判断によって作成しており、迷惑メールを送っていないにもかかわらず、登録されてしまう場合があります。
その結果として、「一部ドメインへメールが送信できない」といった状況が発生しております。
あるブラックリストの例を用いて、ブラックリストへ登録される仕組みとその対処方法を、以下に説明させていただきますので、ご確認いただきますようお願い申し上げます。
■ブラックリストを使ったスパム(迷惑メール)フィルタの仕組み(例)
ブラックリストを利用した一般的なスパムフィルタの動作について以下に説明します。
- メール送信者は社外のドメイン宛にメールを送ります。 クライアントのメーラーでは、メール送信サーバとして自社のメールサーバが登録されています。
- 自社のメールサーバは、送信先のドメインのメールサーバへメールを配送します。
- 送信先メールサーバはメール受信時に、送信元IPアドレスを第三者のブラックリストに照会します。
- ブラックリストにそのIPアドレスが載っている場合、メールの受信を拒否し、エラーメールを送信者へ返送します。
(メールサーバの設定によっては、スパムメールそのものと判断して、エラーメールの返信を行わない場合もあります。)
■ブラックリストで登録される例
ブラックリストに登録される理由は様々で、情報収集するためのメールサーバを設置して登録するものや、申告を元に登録するものなどがあります。
あるブラックリストの例では、収集したIPアドレスに対して以下の条件で登録するか否かを判定しているようです。
- 逆引きの設定があるかどうか
- 逆引きしたホスト名を正引きし、元のIPアドレスと一致するかどうか
- 逆引きPTRレコードのTTLが12時間以上であるかどうか
■上記ブラックリストからIPアドレスを削除する条件
ここで取り上げたブラックリストの例では、リストから削除するために以下のようなDNSの設定を行ったうえで、ISP経由で申請を行う必要があります。
- example.comのMXレコードが登録されており、TTLが12時間以上あること
- MXレコードで引いたホスト名のAレコードが登録されており、TTLが12時間以上あること
- Aレコードで引いたIPアドレスがPTRレコードに登録されており、TTLが12時間以上あること
- PTRレコードで引いたホスト名が2.で引いたMXレコードのホスト名で登録されているホスト名と一致していること